一人旅の記録

一人旅の様子を記録します。

2019 一人旅 in フランス。 11

2019.5.3.Fri
フランス旅行4日目。

昨日は、念願のモンサンミシェルに訪れることができ、夢が叶った1日だった。
モンサンミシェルそばのホテルに1泊し、今日は1日ゆっくりとすることができる。

何をしようかと、旅行前から考えていた。
ガイドブックなどを調べていると、干潟ウォーキング、遊覧飛行、ミカエルの空ツアー、水彩画などアクティビティも充実している。

色々と迷ったが私は絵を描くことが好きなので、スケッチをすることに決めた。アクティビティとしてではなく、道具を持参し独自にやることにした。

夢であったモンサンミシェルの風景を、写真だけでなく目に焼き付けたい、見るだけでなく「描く」という能動的な体験で旅行をより深いものにしたい、という思いから、スケッチすることに決め、今日のことをすごく楽しみにしていた。

そうして、朝を迎えた。部屋のカーテンを開け、外を見る。
朝方雨が降ったようだが、すっかり晴れてとても気持ちのよい朝だった。

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雨上がりのさわやかな朝


今日の宿は朝食がセットになっている。支度をして早速食べに行った。
食器類がオレンジやライトグリーン色で、とてもかわいかった。
ブッフェスタイルで、パンや、チーズ、ハム、フルーツなどが並べられていた。

食べてみると、これがまたうまい。ハムは塩味が効いていてしっかりとした味。チーズもコクがあって、乳の本来の味がする。チーズはこの辺りの名産品である。地元の味を味わうことができて良かった。食後にコーヒーを頂き、いざスケッチをしに外へ出た。

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朝ごはん


本当に気持ちのよい天気だった。
空気も爽やかで、人も少なく、まさに聖地といった感じだ。

散歩しながら、スケッチポイントを探す。

ホテルの近くには、モンサンミシェルを眺めることのできる橋があった。
景色もよく、ベンチもあり、人通りも少ない。
ここが最適の場所だと思い、ここで描くことに決めた。

アングルや構図を考え、橋、川、モンサンミシェルが見える場所を探し、ベンチに座った。
ぽかぽかとした太陽があたたかく、それだけで幸せな気持ちになった。
のんびりとゆっくりと、その場所でしか味わえない空気を堪能した。

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スケッチポイントの橋

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橋から見たモンサンミシェル


この日のために買った、ドイツのステッドラー社製の水彩色鉛筆とスケッチブックを取り出した。折りたたみざぶとんも持参し、準備は万端だ。

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ステッドラー社製の水彩色鉛筆


オレンジ色の色鉛筆で、アタリを取り始める。
自分との対話の時間。集中して描くと瞑想状態になれる。

風がそよぎ、遠くのモンサンミシェルでは、鐘の音がする。
馬車の音、鳥のさえずり、潮の満ちていく波の音。
なんて、素晴らしい時間だろう。

ここは天国なんじゃないか。そう思えるほどだった。
日常の喧噪を離れ、全てを忘れられる時間だった。

描いていると、道行く外国人が、私のスケッチをのぞき込んで来たり、チラ見していく。プロではないので、恥ずかしいなあと思いつつ、悪い気分ではなかった。

ほとんどの人は何も言わずに通り過ぎていくが、あるフレンドリーな外国人男性(アメリカ人かオーストラリア人かなあ?)が、私の絵を見て「Very Cool!!」と言ってくれたのだった。私はとても嬉しかった。「Thank You!!」と言ったが、こんな風に知らない場所で、知らない人と交流ができることがあるんだ!と一期一会の素晴らしさを実感した。

そうして昼食もとらずに、5時間ほどが経った。
帰りのバスの時間もあるし、海風が強くなり、とても寒くて身体も限界に近づいていたので、区切りをつけ絵を完成させた。

自分なりにはなかなかの出来。上手い下手は別として、描く時間がとても充実していたし、やり遂げた達成感でいっぱいだった。

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初の海外スケッチ


時刻は14:00ごろ。送迎バスは16:00ごろ出発する。その前に昼食を取りたいと思って、近くのレストランをまわってみたが、どこもランチタイムが終わってしまっていた。
しかし、お土産屋さんとスーパーが一緒になった大きめの施設「レ・ギャラリー・ド・モンサンミシェル」には軽食屋さんもあったので、そこで食べることにした。

まずはお土産屋さんを物色し、サブレや、リキュールなどを購入した後、軽食屋さんへ行った。ランチを過ぎたせいかほとんどメニューは残っていなかった。ハムチーズサンドとコーヒーを注文し、外のテラスでのんびりと食べた。

しかし、思った以上においしかった。ハムとチーズのシンプルなサンドイッチだが、ハムの塩加減、パンの固さ、チーズのコクが三位一体となって絶妙なハーモニーを生み出していた。余計な味付けがなく、素材本来の味がするという感じだった。コーヒーを飲み、時間まで本を読みながらゆっくりと過ごした。

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昼食のハムチーズサンドとコーヒー


パリまでの送迎バスが来た。ここからまた5時間程かけてパリへ戻る。
とても楽しくて、心地の良い場所だったので、帰りたくなかった。
バスが出発し、モンサンミシェルが小さくなっていくときは、もう2度と来ることはないかもしれないという思いがこみ上げ、なんだか泣きそうだった。

車窓を眺めながら、長い旅路の末パリに戻って来た。
パリは素晴らしい街だけど、のどかな風景から帰って来ると人が多くてやはり怖い。日本人の団体と行動を共にしてきた安心感から、また急にパリの街に一人で放り出されて緊張感が増した。

バスは、マリーアントワネットが処刑されたというコンコルド広場などを通り、オペラ座の近くで停車した。ゆっくりとする余裕はなく、オペラ座を横目にそそくさとタクシー乗り場を探した。幸いすぐにタクシー乗り場が見つかり、乗車することができた。この日の運転手さんはとても紳士的で、すごく優しかった。カード払いも親切に応じてくれて、ホテルへと戻った。

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オペラ座


初日に泊まったホテルにまた戻って来た。ここであと2泊する。
しかしここのホテルは、夜勤のお姉さんがすごく怖い。
初日に宿泊したが間をはさんだので、もう一度チェックインし直す。

私「こんばんわ。私の名前は佐藤です。チェックインお願いします。」
と言って予約表を提示した。
フロント「パスポート見せてよ!」
私「あ、はい。あと預けた荷物もお願いします。」
フロント「パスポートを先に見せて!」
私「ああ、すみません。。」
フロント「スーツケースの色は?」
私「青です。」
フロント「自分で見て来て!」
と言われ荷物置き場へ行った。

すると何種類かのスーツケースが置かれていたが、私のがない。。じわりと焦る。
あれ?ない?マジか!?やられた!とすごく焦る。

「私のやつないんですケド…」と言うとフロントのお姉さんともう一人の男性スタッフが固まる。そして、別の荷物置き場を探してくれて、ようやく私のスーツケースを持って来てくれた。

一安心すると、今度は「市税を払ってちょうだい」と言われたので、「分かりました。」と答える。

・・・しばらくの間・・・・ 

「Now!!(いや、今だよ!)」と怒られる。

そして「一人ですか?」と聞かれたので、「一人です。」と答えたら、「Yes or No?!(はいかいいえどっちなの?!)」と怒られた。

これは日本とフランスの文化の違いだろうが、日本語では相手の言ったことを繰り返すことで、Yesと同じ意味を表すことがある。
例えば「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫!」と答えるように。

しかしフランスでは曖昧な言い方は好まれず、自分の主張をはっきりと言うことが大切らしい。曖昧な言い方が好きな日本人としては、「そこまで怒らなくてもいじゃない…。泣」という思いでいっぱいだったが、フランスではとにかくYesなのかNoなのかをはっきりと示さなければならないのだ。
そして日本のようにお客様は神様ではなく、客と店側は対等であり、お金と引き換えにサービスを受けるだけ、それ以上でも以下でもない、という関係がはっきりしている。

必要以上にサービスを求める日本もどうかとは思うが、さっきまで幸せいっぱいだったのに、すごく怒られてとてもしょんぼりしてしまった。

なんとか再びチェックインができ、部屋に入ると、なんだか寒気がし、熱っぽい。どうやら風邪をひいてしまったようだ。寒い中海風にさらされ続けたことと、度重なる緊張や疲れから体調を崩してしまったみたいだ。

そんな具合になってしまったので、夕食は持参したインスタントみそ汁。なんとも侘しい。しかし、寒い身体に日本のみそ汁は十分に私の心と身体を満たしてくれた。

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夕食のインスタントみそ汁


旅の中盤で身体が疲れてしまったが、今日はすごく楽しく素晴らしい1日だった。
明日に備え早めに休むことにした。

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人生最高の日。